自宅で包丁をメンテナンスする方法
包丁の刃を良い状態に保ちたいけれど、 「何をすればいいのかわからない」「自己流で大丈夫か不安」 そんなお悩みはありませんか? 本記事では、ご家庭で安全に行える包丁のメンテナンス方法をわかりやすく解説します。 ご自宅でできる研ぎ方や、日々のお手入れのポイントはもちろん、 鍛造包丁に見られることのある「ゆがみ」や「ねじれ」についても詳しくご紹介します。 包丁を安心して、長くお使いいただくためのヒントをまとめていますので、 ぜひ最後までご覧ください。
メンテナンスと注意事項
鍛造鋼の包丁をより長く、より良い状態で使うためのメンテナンス方法をご紹介します。
メンテナンス手順
01
使用後は包丁を洗剤で洗ってください。刃を拭く前に熱湯をかけることをお勧めします。熱湯は目に見えない刃の細かい傷に入り込んだ水分を素早く蒸発させ、錆びを防ぎ、殺菌効果があるからです。
02
乾いた布で水分を拭き取ってください。特に鍛造鋼包丁は錆びやすいので、ご使用の際は必ず水分や汚れを拭き取ってください。サビの落とし方については、下記の「サビの落とし方」をご覧ください。
03
長期間保管する場合は、市販の包丁用防錆油(ない場合は食用油)を塗布し、余分な油を拭き取ってから保管してください。
予防
01
可能な限り木製のまな板を使用することをお勧めします。プラスチックまな板は刃に目に見えない欠けや傷が残り、切れ味が落ちてしまう場合があります。
02
食器洗い機や乾燥機はハンドルの縮みや割れの原因となりますので使用しないでください。
03
用途に合わない包丁を使用すると刃を傷める恐れがあります。したがって、ナイフは常に本来の目的に合わせて使用する必要があります。例えば、骨や硬い野菜(カボチャなど)には厚い包丁を、冷凍食品には専用の包丁を使うなどです。
04
刃の硬度の低下や柄の焦げの原因となりますので、直接火にかけたり火のそばに置かないでください。
ねじれ
手打ち鍛造による包丁は、製法の特性上、長期間の使用や環境の変化によって、わずかな「ゆがみ」や「ねじれ」が生じる場合があります。
これは機械による大量生産品には見られにくい、手打ち鍛造ならではの特性であり、職人が一本一本丁寧に仕上げている証でもあります。
いずれも品質不良ではなく、使用上の問題が生じるものではありませんので、どうぞご安心ください。
鍛冶職人が伝統的な本割込みの工程で一本ずつ手作りする鍛造包丁は、
約1000℃の炉で焼き入れを行い、その後ベルトハンマーによって鍛え上げられます。
これは、平らな鋼板を型抜きして製造される一般的なステンレス包丁とは、製法そのものが大きく異なります。
ハンマーで叩きながら成形することで、鋼の内部組織が緻密になり、切れ味や耐久性に優れた刃が生まれます。
実際の鍛造工程については、ぜひ次の動画をご覧ください。
鉄の性質上、鍛造直後や焼き入れによる硬化の過程で、わずかな「ゆがみ」や「ねじれ」が生じることがあります。 そのため当店では、すべての包丁を焼き入れ後および出荷前に検品・調整し、品質管理を行っています。 それでも、使用環境や時間の経過により、ごく稀に出荷後にわずかな歪みやねじれが生じる場合がございます。 歴史的に日本では、こうした微細な歪みについて、研ぎ師や使用者自身が研ぎや調整を通じて修正しながら使い続ける文化が根付いてきました。
刃の修正がどうしても必要な場合は、安全のため、お近くの刃物店や専門店へご依頼いただくことをおすすめします。 やむを得ずご自身で修正を行う場合は、手を切らないよう十分にご注意ください。 刃先を厚手の紙や布でしっかり包み、木製のまな板など滑りにくい安定した素材の上に置いたうえで、 一度に強い力を加えず、様子を見ながら少しずつ慎重に力を加えて修正してください。
上: 歪みを修正するための特別な木製の棒 (オーク)
刃が切れなくなったときの対処法
刃の切れ味が落ちてきたと感じたら、早めに砥石で研ぐことが大切です。
適切に研ぐことで、切れ味はしっかりと回復します。
切れ味の悪い包丁を使い続けると、食材の繊維を潰してしまい、味や食感が損なわれる原因になります。
また、時間が経つにつれて余計な力を入れるようになり、思わぬケガにつながる可能性も高まります。
さらに、刃には目に見えない小さな欠けが徐々に発生し、放置すると大きな欠けへと進行してしまいます。
砥石の種類について
砥石は粒度(番手)によって、主に以下の3種類に分けられます。
荒砥石(#80〜#400)
大きな刃欠けの修理や、刃の形を大きく整える際に使用します。
中砥石(#700〜#2000)
日常的な研ぎ直しや、切れ味の回復に最もよく使われます。
仕上砥石(#4000以上)
刃をなめらかに整え、より鋭い切れ味に仕上げます。
刃の研ぎ方
イラスト:日本経済新聞
錆びの落とし方
包丁に錆が発生した場合は、できるだけ早めに取り除くことが大切です。
表面にうっすらと錆が出ている程度であれば、
濡らしたコルクに少量のクレンザーを付け、やさしくこすることで錆を落とすことができます。
それでも落ちない場合は、**サビ取り剤「サビトール(サビ消し)」**を使用し、水をつけながらこすってください。
これらの方法でもサビが取れない場合は、鋼の奥までサビが広がっている可能性が高いので、お近くの刃物店や研ぎ屋に修理をご依頼ください。
適切な道具を使って包丁をメンテナンスする
包丁を良い状態に保つことは、刃の寿命を延ばすだけでなく、料理の仕上がりや味わいにも大きく影響します。 切れ味の良い刃は、食材を美しく切り、調理の質を高めてくれます。 由宗刃物では、高品質な和包丁はもちろんのこと、砥石コレクションをはじめとする、和包丁のお手入れに最適なツールも取り揃えています。 お客様に包丁を長く、安心してお使いいただき、最高の体験をしていただくための道具をご提供しています。